多くの革は水気に弱く、雨天や水に濡れやすい状況では使うのをためらってしまいます。
でも、そんな場合にも使える『防水レザー』や『防水革』というものがあるんです。
これらの革は水を通さない加工がされているので、雨でも平気。
私はある時、「多くの革製品を防水レザーで作ったら良いのでは?」と思ったんです。
そうすれば水濡れを気にせず、もっと気軽に革製品をみんなが使えるんじゃないかって。
でも、現実はそうなっていません。
それって、防水レザーにも何かデメリットがあるからじゃないかしら。
防水というメリットの陰に隠された、弱点を探ってみました。
防水レザーとは
防水レザーって、そもそもどんな革で、どういった仕組みで水に強いんでしょう。
素材は本革のことが多い
多くの防水レザーは、素材としては本革が使われています。
本革に、『水が長い間付着しても、革に染み込まない』という加工がなされているんです。
とはいえ、色んなメーカーがこの加工をした革を開発しており、呼び方も独自の名称を付けていたりします。
例えば、私が大ファンの土屋鞄製造所が販売している製品に使っている防水レザーの名前は「防水ファインレザー」です。
しかし、頭に「防水」「撥水」とついた名前の革であれば、基本的には水に強い革だと思ってOKですよ。
水に強い加工法は主に2種類
水に強くなる加工の方法は、メーカーによって様々なようです。
いざ調べてみると、その手順について明確に表記しているメーカーは少数。
わかる範囲での代表的なものは
- 革の表面に、防水効果の高い塗料を塗ってある
- 革の繊維に、防水効果のある材料を浸透させてある
という2つの方法に分かれていました。
これは、防水効果が革の「表面」のみか、あるいは革の内側も含めた「革全体」にあるのかという違いになります。
さらに、製品の内側にも水を防ぐ生地を使ったり、別で水に強い加工をしているものもあります。
その場合、外から見ても中から見ても手が加えられており、本革らしさはかなり減ってしまうと言えますね。
デメリットを使っている人に聞いてみた
私は持っていないんですが、実際に防水レザーのバッグを使っているという知人から感想を聞かせてもらえました。
特に大きなデメリットは感じていないんだけど・・・と言いつつも、防水レザーについて率直な意見が聞けたのでご紹介します。
見た目に面白みがない
まず、見た目の話になりました。
質感が好みじゃないって人もいるかもね。
とのこと。
ネット通販で販売されている防水レザーの製品を見てみると、見た目の傾向としては
- 傷や特徴的な模様がほぼ入っていない
- 表面に光沢感がある
というふうに感じました。
傷などに関しては、水に強い加工を施すのには綺麗な表面の革の方が向いているとか、理由があるのかも知れませんね。
光沢感については、防水加工をすることによって少なからず出てしまうのではないかと思います。
これらの見た目は、どちらかというとキレイめな印象。
でも本革独特の表情や個性がなくて、面白みがないような・・・。
本来、本革の表面って、天然ものなのでピシッと均一な状態ではありません。
それに比べ、防水レザーの表面は光沢感があって均一に整っているので、私のように魅力としてイマイチだと感じる人もいるんでしょう。
それに、そのような革だとぱっと見、合皮かと間違えられそうです。
「立派な革製品を持っているのに、実際の値段以下の価値に思われてしまうのではないか。」という不安も、見た目に関してはありますね。
革を育てることができない
そして、知人はこうも言っていましたよ。
自分好みに育てていくような革ではないのも、ちょっと物足りないかな。
私はそれを聞いて、防水レザーの最も残念な部分はココだと思いました。
水に強い革にすると、育たない。
革というのは、含まれている油分や水分の量によって状態が変化していくもの。
また、摩擦などの外部刺激によって革の表面も変わります。
そうして使っていくうちに、その人の「味」のある革に育っていくんです。
革が自分流に育っていくことって、革製品を使ううえで最も楽しみな部分でもあるんですよ。
それが防水レザーだと、水に強い材料のおかげで油分や水分量が変化することがなく、外部からの刺激にも影響を受けにくい。
だから革の状態に変化が起きにくく、味のある革へと変わっていくことは期待できないんです。
革の変化を楽しみたい人にとって、防水レザーではそれに応えられないということですね。
本革のように、長く使いながら楽しむということはできないということか。
使う際の注意点
防水レザーについて調べるうちに、使う際に気を付けなければいけない点があることを知りました。
いくら水に無敵だと思っていても、安心しきるのはまだ早いですよ~。
縫い目などから水が入ることもある
革の表面に防水加工がされていても、縫い目やファスナーなどの隙間から水が入ってしまうことがあります。
まさか製品をザブザブと水に浸ける人はほぼいないでしょうが、豪雨の時は気を付けて。
隙間から入った水分で、バッグの中が少し濡れることがあるかも知れません。
革というより、中身の心配ね。
表面コーティングの場合は傷に注意
表面に防水の加工をしている革の場合、革に傷がついてしまうとその部分はコーティングが剥がれた状態になってしまいます。
ですから、そこから水が染み込んでくることになります。
また長期間使っていて表面が削れてくれば、同様に水の影響を受けやすい革になってしまいますのでご注意を。
それに対し、革の繊維まで防水の加工がされているものは、こうした心配がありません。
傷がつこうが、表面にシワができようが、しっかり革の内部から水を弾いてくれます。
前半で土屋鞄製造所さんの名前を出しましたが、こちらの防水レザー(正式名称は『防水ファインレザー』)は、まさに繊維まで防水加工をしたバッグを販売しています。
デザインも洗練されていて、素敵ですよね~♪
革製品って、使っていくうちにどうしても傷やシワがついてしまいます。
長期的に使いたいと思ったら、繊維単位で水を寄せ付けない防水レザーでできた製品を選ぶのが、おすすめですよ。
こんな場面には防水レザーが大活躍
これまで、デメリットや注意点を紹介してきました。
しかしそれでも、防水レザーの『水に強い』という点は、やっぱり心強いんです。
革が水に濡れるからと行動に制限をしたり、何かを我慢するのはもったいない。
そんな時には、ぜひ防水レザーを活用しましょう。
私が是非使って欲しいと思う状況って、こんな場合です。
- 梅雨の時期
- 天候が不安定な日
- スポーツジム・プールに行く時
- 子供や仲間達と思いっきりアクティブなことを楽しむ日
雨天の日、革製品を拭くためのタオルで荷物が増えたり、革バッグが雨に濡れないように道順を考えたりするのは大変です。
道中で急に雨に降られたらどうしようと、ずっとスマホの天気予報を気にしているのも、お出かけの楽しい時間が台無しですよね。
また、思いっきり運動した後にシャワーを浴びて、その濡れた手でロッカーの中から荷物を取り出す時も、水に強いレザーなら余裕です。
子供や気の置けない仲間達と、汗をかいたり砂や泥まみれになって遊ぶ時(子育て中はよくあるんですよ~(涙))も、水気を気にしなくて良いというのは頼もしく感じるでしょう。
防水レザーは、見た目や変化の無さがちょっと残念でした。
それゆえ、普段使っている革製品をこのレザーでまかなうのは難しいことがわかりました。
でも水濡れの心配がある時のために、1つ持っているだけで安心感がありますね。
まとめ
防水レザーについて、デメリットを探ってみました。
大きなデメリットは見当たらなかったものの、見た目や変化しないことによる面白みがないのが残念な点でした。
革を育てたり、自分の革に愛着を持って使いたいという人にとっては、やはり防水レザーは物足りないようです。
だけど、梅雨や水濡れの可能性がある場面では大活躍します。
バッグであれば、ある程度の容量でシーンを選ばない、ベーシックなデザインのものがおすすめ。
1つ持っていれば、何かと出番があるはず。
水に濡れることを気にしながら過ごすよりも、安心して使える防水レザーを上手に活用して楽しいひと時を過ごしましょう!